大きすぎる問いは、まず中身を見渡す

大きすぎる問いは、まず中身を見渡す

大きすぎる問いが動かないのは、中に何が混ざっているか見えていないからです。

この記事でわかること

  • 「大きい問い」が動かない構造的な理由
  • 問いの中身を見渡す方法(構造化)
  • 見渡した問いを小さい問いに切り分ける方法(分解)

「売上を上げるにはどうすればいいか」

この問いを投げかけられて、すぐに動ける人は少ないはずです。何を調べればいいか分からない。どこから手をつければいいか分からない。考えるべき範囲が広すぎて、結局「もう少し情報を集めてから考えよう」で止まる。

これは考え方の問題ではありません。問いの中に複数の論点が混ざっていて、何を考えるべきか見えていないのです。

動かない問いの中身は、たいてい混ざっている

「売上を上げるには」は、一見すると1つの問いに見えます。でも実際には、この中にまったく性質の違う論点が詰まっています。

新規顧客の獲得なのか、既存顧客の単価向上なのか、解約防止なのか。営業の話なのか、プロダクトの話なのか、マーケティングの話なのか。今月の話なのか、来年の話なのか。

これらが全部混ざったまま「どうすればいいか」と考えても、思考が拡散するだけです。会議でこの問いを出すと、参加者全員が別々の論点について話し始めます。ある人は新規獲得の話をし、ある人は解約の話をし、ある人は来年の計画の話をする。全員が真剣に考えているのに、議論がかみ合わない。

問いの中身が混ざっていると、全員が別の問いに答えている状態になる。 これが「考えているのに結論が出ない」の正体です。

まず、中身を見渡す

動かない問いを動かすには、最初にやるべきことがあります。いきなり答えを考えるのではなく、問いの中に何が含まれているかを見えるようにすることです。

「売上を上げるには」の中身を見渡してみます。

売上の構成を考えると、「新規顧客の数」「既存顧客の単価」「継続率」に分かれます。関わる部門で見ると、「営業」「マーケティング」「プロダクト」「カスタマーサクセス」に分かれます。時間軸で見ると、「今月やること」「来四半期に仕込むこと」「1年かけて変えること」に分かれます。

こうして見渡すだけで、「売上を上げるには」の中に少なくとも十数個の論点が混ざっていたことが分かります。

見渡すとは、問いの中にある論点を並べて見えるようにすること。 まだこの段階では、どれに取り組むかは決めません。まずは「何が混ざっているか」を見えるようにする。それだけで、問いとの向き合い方がまったく変わります。

見渡すための3つの軸

問いの中身を見渡すとき、便利な軸が3つあります。

「何の」軸——対象を並べる

「売上を上げるには」→ 売上を構成する要素は何か。新規獲得、単価向上、解約防止、アップセル。この軸で並べると、「売上」という一塊が複数の対象に分かれます。

「誰の」軸——関わる主体を並べる

同じ「売上を上げる」でも、営業の仕事、マーケティングの仕事、プロダクトの仕事、経営の仕事と、主体が違えばやるべきことが違います。この軸で並べると、「誰が何をすべきか」の整理がしやすくなります。

「いつの」軸——時間を並べる

今月の話、来四半期の話、1年後の話。同じテーマでも、時間軸が違えば打ち手も変わります。短期の施策と中長期の構造変革は、まったく別の思考が必要です。

3つの軸すべてを使う必要はありません。問いによって有効な軸は異なります。ただ、「何の」「誰の」「いつの」で見渡すと覚えておくと、大抵の大きい問いは整理できます。

見渡したら、切り分ける

中身が見えたら、次はそれを独立した小さい問いに切り分けます。

「売上を上げるには」が構造化されて以下が見えたとします。

  • 新規顧客の獲得
  • 既存顧客の単価向上
  • 解約防止
  • 今月の施策
  • 来期の仕込み

ここから、それぞれを独立した問いに変換します。

「新規顧客の獲得チャネルで、直近3ヶ月で成果が出ているのはどれか」「解約した企業に共通する利用状況のパターンは何か」「来期の単価向上に向けて、今のプラン体系で足りていないものは何か」。

元は1つの問いだったものが、それぞれ独立して答えを出せる問いに変わりました。

切り分けるとは、見渡した論点を「それだけで答えが出せる問い」に変換すること。 1つの大きい問いの中にいくつもの問いが入っていた。それを取り出して、個別に答えられる状態にする。

見渡さずに切り分けると、失敗する

ここで注意があります。「見渡す」と「切り分ける」は順番が大事です。

見渡さずにいきなり切り分けようとすると、思いつきベースの分解になります。「とりあえず新規と既存に分けて考えよう」。これだと、本当に重要な論点が抜け落ちる可能性があります。

たとえば「営業の仕事」という軸で切り分けたけれど、実は問題の本質はプロダクトの機能不足だった。見渡すステップを飛ばしたから、切り分けの方向自体がずれてしまった。

まず見渡す。そのうえで切り分ける。 この2ステップを分けて考えることが、問いの構造化の基本です。

ただし、切り分けた問いが多すぎても動けません。「10個の問いに分解できました」と言われても、10個同時には答えられない。

次回は、切り分けた問いの中から「今、答えるべきもの」を選ぶ技術を扱います。

📌【図挿入】q_vol04.png ─ 大きすぎる問いはまず中身を見渡す(パターンH: ピラミッド分解)

まとめ

この記事のポイントを3つにまとめます。

  • 大きすぎる問いが動かないのは、中に複数の論点が混ざっているから。全員が別の問いに答えている状態になる
  • まず問いの中身を見渡す。「何の」「誰の」「いつの」の3軸で、含まれている論点を見えるようにする
  • 見渡したら、それぞれを独立して答えが出せる問いに切り分ける。見渡さずに切り分けると方向がずれる

次回は「焦点を絞る」を扱います。構造化して切り分けた問いの中から、「今、最初に答えるべきはどれか」を選ぶ。見渡す→切り分ける→絞る。この3ステップで、大きすぎる問いが動き始めます。