「いい問いだったか」を振り返る3つの基準

「いい問いだったか」を振り返る3つの基準

問いを立てた。でも、それが「いい問い」だったかどうか、どう判断すればいいのか。「動いたか。使えたか。つながったか。」この3つで振り返れば、自分にフィードバックを出せるようになります。

この記事でわかること

  • 「いい問い」を判断する3つの基準
  • 会議や分析の後に1分でできる振り返り
  • AIを使った問いの事後評価

前回、毎日5分の「問いの素振り」を紹介しました。でも、回数を増やすだけでは上達しません。立てた問いが良かったかどうかを振り返らないと、同じレベルの問いを繰り返すだけになります。

振り返りには基準が必要です。基準は3つ。「動いたか。使えたか。つながったか。」

動いたか——議論や作業が前に進んだか

一番シンプルな基準です。

「新サービスのターゲットは法人か個人か」と問いを設定した。参加者がすぐに意見を出し始めた。「法人の方が単価が高い」「でも個人の方が獲得コストが低い」。対立も含めて、議論が前に進んだ。この問いは「動いた」。

一方、「新サービスの方向性をどうしますか?」と投げた。沈黙。やがて誰かが「まず市場調査が必要では」と言い、別の誰かが「競合の動きも見ないと」。議論が拡散して、30分後にまだ方向性が決まっていない。この問いは「動かなかった」。

動かなかった原因は、だいたい2つ。問いが大きすぎた(Vol.4)か、参加者のコンテキストが揃っていなかった(Vol.10)か。「動かなかった」と気づけば、次からは問いを小さくするか、コンテキストを事前に揃えるかで修正できます。

使えたか——判断に直結する情報が出たか

問いの目的は、最終的に判断につなげることです。

「解約した顧客に共通する属性は何か」と問いを設定して分析した。「契約から12ヶ月目の更新月に集中している」と分かった。「更新月の前にフォローを強化する」という判断ができる。この問いは「使えた」。

「顧客の満足度を改善するにはどうすればいいか」と議論した。いろいろな意見が出た。でも会議が終わって、「で、来週から何をする?」が決まっていない。情報は出たが、判断に使えなかった。この問いは「使えなかった」。

仮説思考のミニシリーズVol.4で「結論と根拠をセットで言い切れる」のが良い検証のゴールだと整理しました。問いも同じです。「だから〇〇する」と言えるか。 言えるなら使えた問い。「いろいろ分かったが、どうするの?」なら使えなかった問い。

つながったか——次の問いが見えたか

良い問いは、答えが出たあとに次のステップが見えます。

「更新月に解約が集中している」。ここから「なぜ更新月に集中するのか。更新時に何が起きているのか」と次の問いが自然に浮かぶ。サイクルが回っている。

逆に、問いに答えた後に「で、次は何をすればいいんだろう」と途方に暮れるなら、問いが浅すぎたか、大きすぎて答えが曖昧だった可能性がある。

答えが出た後に30秒以内に次の問いが浮かぶか。 浮かぶなら良い問い。浮かばないなら、設計を見直すサインです。

会議の直後1分で振り返る

3つの基準を使うタイミングは、会議や分析が終わった直後がベストです。時間が経つと記憶が薄れる。

やり方はシンプル。会議が終わったら、メモに3行書くだけ。

「今日の問い:新サービスのターゲットは法人か個人か」

「動いたか:動いた。対立する意見が出て比較検討になった」

「使えたか:使えた。法人優先で合意し、来週から法人向けリサーチを開始」

1分で終わります。これを2週間続けると、自分の問いのパターンが見えてきます。 「自分は問いを大きく立てすぎる」「主語を入れ忘れることが多い」。パターンが分かれば、次から意識して修正できる。

これがVol.21で挙げた「フィードバックがない」問題への対処です。他の人からのフィードバックがなくても、自分で振り返れば改善できます。

AIに振り返りを手伝わせる

自分の記憶だけで振り返るのが難しければ、議事録やメモをそのままAIに貼るのが手軽です。最近は会議の文字起こしツールも多いので、議事録がテキストで残っていることも増えています。それをそのまま渡すだけで、自分では気づかなかった改善点をAIが指摘してくれます。

以下は今日の会議の議事録です。
(議事録をそのまま貼り付け)

この会議では「新サービスのターゲットは法人か個人か」を
論点として設定しました。

以下の観点で評価してください。
①この問いによって議論は前に進んだか
②判断に使える情報は出たか
③次にやるべきことは明確になったか
改善点があれば指摘してください。
次回同じテーマで会議するなら、どんな問いを設定すべきか提案してください。

議事録には「誰が何を言ったか」「議論がどこで脱線したか」「結論が出たか」が全部入っています。自分の記憶よりはるかに正確です。AIは「議論の前半10分は論点と関係ない話に脱線している。事前にゴーサインが共有されていなかったのが原因ではないか」と指摘してくれるかもしれません。

議事録がなくても、自分で会議の要点を3〜4行メモしてAIに渡すだけでも十分です。完璧な振り返りでなくても、「振り返る仕組み」を持つことが大事。 AIはその仕組みの壁打ち相手として十分に機能します。

まとめ

この記事のポイントを3つにまとめます。

  • 「いい問い」を判断する基準は3つ。「動いたか」(議論が前に進んだか)、「使えたか」(判断に直結する情報が出たか)、「つながったか」(次の問いが見えたか)
  • 振り返りは会議の直後1分。3行メモするだけ。2週間続けると自分の問いのパターンが見えてくる
  • AIに振り返りを手伝わせるなら、議事録をそのまま貼るのが手軽。自分の記憶より正確で、気づかなかった改善点を指摘してくれる

次回は「AIを壁打ち相手にして、問いを磨く」。Vol.22の素振り③で触れたAIとの壁打ちを、もっと深く掘り下げます。自分の問いを鍛えるためにAIをどう使うか。Vol.18-19の「AIに仕事を任せる問い」とは逆向きの話です。