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title: "AIで誰でもアプリは作れるのか"
description: "AIで作れるのは「動くもの」までで、実験では6時間かけたコードに45%の脆弱性が混入したことが判明し、判断と責任は専門家に委ねるべきだと示しています。"
canonical: "https://novajournal.net/column/editor-ai-talk/column-vibe-coding-reality/"
publishedAt: "2026-08-31"
updatedAt: "2026-08-31"
author: "NOVA JOURNAL編集部"
category: "コラム"
subCategory: "編集長のAI談義"
tags: ["AI基礎知識", "事例・ケーススタディ"]
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# AIで誰でもアプリは作れるのか

AIで作れるのは「動くもの」までで、実験では6時間かけたコードに45%の脆弱性が混入したことが判明し、判断と責任は専門家に委ねるべきだと示しています。

iPhoneが、カイロみたいに熱くなっていました。

6時間、AIに聞きながら作り続けたアプリは、目の前で一応動いています。ただ、肝心の機能だけがどうしても動きません。そんな状態でふと調べものをしていた私は、気づきました。

いま必死に作っているこの機能、**Googleの標準アプリに最初から載っている。**

それが分かった時、泣きたくなりました。

「AIで誰でもアプリが作れる時代が来た」という言葉を、最近よく見かけます。私はAIの会社を経営していて、この変化の恩恵を毎日受けている側の人間です。だからこそモノは試しと身をもって検証してみたのですが、結果は冒頭の通りでした。今回はその一部始終と、あとから調べて分かった「構造」の話をします。

結論を先に言うと、**AIで作れるのは「動くもの」までです。「責任を持って出せるもの」との間には、まだ大きな壁があります。**

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### 発端は、軽い好奇心でした

GoogleがGemma 4という、スマホ単体で動くレベルのAIモデルを出しました。これは面白そうだ、試すしかないと思い立ち、写真を撮ると写っているものをAIが解説してくれるだけの、簡素なアプリを作ることにしました。

私はコードが書けませんが、今はClaude Codeがあります。分からないことは、全部聞けばいい。

実際、序盤は魔法のようでした。日本語で伝えるとコードが出てきて、「はい」を押すと次の提案が出てくる。はい、はい、はい、はい。それだけで１時間ほどで「ぽいもの」ができあがり、実機のiPhoneに入れるとちゃんと起動しました。エンジニアではない自分がアプリを作っている。この瞬間は正直、ワクワクしました。

時代は変わったんだ、と本気で思いました。ここまでは。

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### 転落は、静かに始まりました

写真を、うまく認識しないのです。

エラーコードをコピーして貼り付けると、AIが自信満々に修正案を出してきます。「はい」を押しても動かず、別のエラーが出て、また貼り付けて「はい」「はい」。このループの怖いところは、**毎回「あと1回で直る気がする」ことです。** AIの提案はいつももっともらしいのに、私にはそれが正しいのか間違っているのかを評価する基準がありません。だから信じて「はい」を押し続けるしかないのです。

正直に言うと、この間ずっと、何がどうなっているのかほとんど分かっていませんでした。分かるための基礎が、私の側にないからです。

気づけば6時間が経っていましたが、直っていません。何が悪いのかすら分からない。そんなタイミングで冒頭の場面を迎え、同じ機能がGoogleの標準アプリに載っていることを知って、心が折れる音がしました。

それでも「まだ諦めるものか」と粘りかけたのですが、できあがった「ぽいもの」は触り心地が悪く、iPhoneは異常に熱くなります。やる意義を見失って、萎えました。

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### なぜ、直せなかったのか

答えは単純で、私が「何を知らないか」を知らなかったからです。

ここで、読んでいるあなたにも意地悪な質問をさせてください。

ボタン1つの最適な設計は、分かりますか。タップ領域は何ピクセル必要で、エラー時には何を表示し、連打されたらどう振る舞うべきか。バックエンドならどうでしょう。認証と認可は何が違い、個人情報はどこにどう暗号化して置き、負荷が10倍になったら何から壊れるのか。

これらはエンジニアが日常的に考えている「普通のこと」で、1つのアプリの裏ではこの種の判断が何百回も行われています。AIはその一部を肩代わりしてくれますが、**どの判断が正しいかを見極める目までは、くれません。** 目がないまま「はい」を押し続けた結果が、私の6時間です。

厄介なのは、**知らない人には「知らないこと」自体が見えない**ことです。見えないから、危険にも気づけません。

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### 私だけでは、ありませんでした

この失敗を自分の実力不足で片付けていいのか気になって調べたところ、**同じことが構造的に、世界中で起きていました。**

2025年3月、「手書きコードゼロでSaaSを作った。AIはもうアシスタントではなく、ビルダーだ」と高らかに宣言した起業家がいました。その2日後の投稿は「みんな、攻撃されてる。知っての通り、僕は技術者じゃないから、原因を突き止めるのに時間がかかってる」というものでした。APIキーは丸見えで、認証もレート制限もなく、サービスは1週間で閉鎖されました\[1\]。私は6時間で個人の実験を諦めただけですが、彼は顧客とお金を預かったまま守れなかった。**個人の失敗と商用の失敗は、重さが違います。**

データはもっと冷静です。セキュリティ企業Veracodeが100以上のAIモデルを調査した結果、**生成コードの45%にセキュリティ脆弱性が混入**していました\[2\]。コードが「動く」確率は50%から95%まで改善した一方で、「安全である」確率は45〜55%のまま横ばい。モデルが賢くなっても、安全性はほぼ改善していないのです。

極めつけは、私の6時間ループとまったく同じ構造の研究です。エラーを貼ってAIに直させる作業を繰り返すと、**5回の反復で重大な脆弱性がむしろ37%増えた**という報告があります\[3\]。直しているつもりで、悪化させている。あの「あと1回で直る気がする」は、罠だったわけです。

公開されたvibe codingアプリ5,600本をスキャンしたら、およそ3本に1本に深刻な穴が見つかったという調査もあります\[4\]。こうして量産された「ぽいもの」がアプリストアに洪水のように流れ込み、いま「AIスロップ」と呼ばれています。

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### 餅は餅屋

餅は餅屋という言葉は、「素人は黙ってろ」という意味ではありません。**専門領域には、外からは見えない判断の層が積み重なっている**、という意味です。

AIは「作業」を肩代わりしますが、「判断」はまだ、判断できる人のものです。そして商用サービスの商品は、突き詰めれば判断と責任です。障害が起きたら復旧し、データが漏れたら賠償し、攻撃されたら守る。この責任を「はい」「はい」で作ったコードで負えるかといえば、私の答えはNOです。

中身を理解していない「危ないもの」を、**会社の公式ツールや商用サービスとして運用するのは難しい。** プロトタイプやPoCまでは大きな価値がありますが、そこから先は餅屋の領域です。

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### では、AIで何をやるべきか

誤解しないでほしいのですが、私はAIでのモノづくりを否定していません。順番と場所を間違えただけです。

やるなら、**もっと簡単にできるところ、そして自分の業務に直結するところからです。** スマホアプリをゼロから作るのは実はかなり難易度が高い領域で、その手前には、日々の集計の自動化、定型文書のドラフト、議事録の要約、問い合わせ対応の下書きなど、AIがすぐ役立つ場所がいくらでもあります。習熟も早く、効果もすぐ出て、失敗しても誰も傷つきません。

そして、作る前に一度だけ立ち止まって吟味してほしいのです。**それは本当に、自分で作るべきものですか。** 私のように、既存アプリに標準搭載されている機能を6時間かけて再発明する前に。

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### それでも、道はある

「じゃあ、エンジニアになれない人は諦めろってこと？」と思われたかもしれません。そうではない、というのがこの記事の後半戦です。

Anthropicが2026年1月に発表した研究\[5\]では、AI任せでコードを書いたグループは理解度テストのスコアが17%低かった一方、**「なぜこう書くのか」を質問しながら使ったグループは、高い理解度と速さを両立**していました。同じAIでも、使い方で結果が正反対になる。以前のコラム[「AIを使うと脳は衰えるのか」](https://novajournal.net/column/editor-ai-talk/column-brain-activity-ai-dependency/)で書いた構造と、まったく同じです。

つまり、エンジニアリングの基礎を学ぶ気があるなら、AIは人類史上最高の家庭教師になります。分からない用語を24時間いつでも聞けて、自分のコードのどこが危ないかを理由つきで教えてもらえる。学習の速度は、間違いなくこれまでの比ではありません。

ただし正直に言うと、学ぶコストはまぁまぁ高いです。商用に耐えるラインまでは、AIの助けを借りても年単位の投資が要ります。

だから、最後はこの問いに行き着きます。

**「できる」と「する」は違う。**

学べばできるようになる。それは本当ですし、その道はかつてなく開かれています。でも、あなたがそれを「する」べきかは別の問題です。本業で勝負したい人がその時間をエンジニアリング習得に使うのが正解か。それとも、プロトタイプまでを自分で作り、そこから先は餅屋に任せて、自分は自分の専門で戦うのが正解か。

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### あなたの時間は、何に使いますか

AIはアプリ開発を民主化した、とよく言われます。私の見方は少し違っていて、**民主化されたのは「開発」ではなく「試作」と「学習」です。** 誰でも試せるようになり、誰でも学べるようになりました。でも「責任を持って出す」は、依然として専門性の世界にあります。

私の6時間は、授業料としては安いものでした。あの夜に学んだのはアプリの作り方ではなく、自分の時間の使いどころです。

**あなたの時間は、何に使いますか。**

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#### 参考文献

\[1\] Pivot to AI (2025). "'Guys, I'm under attack' — AI 'vibe coding' in the wild." March 2025. / Tech Startups (2025). "When Vibe Coding Goes Wrong." March 2025.

\[2\] Veracode (2025). "2025 GenAI Code Security Report." / Veracode (2026). "Spring 2026 GenAI Code Security Update: Despite Claims, AI Models Are Still Failing Security." July 2026.

\[3\] "Vibe Coding Has a Security Problem Nobody Wants to Talk About." (2026).（反復修正による脆弱性増加：機能テスト通過61%のうち安全なコードは10.5%、5回の反復で重大脆弱性37%増の研究報告）

\[4\] Cook, J. (2026). "Vibe Coding Has A Massive Security Problem." Forbes, March 2026.（Escape社による公開vibe codingアプリ5,600本のスキャン調査）

\[5\] Shen, J. H. & Tamkin, A. (2026). "How AI Impacts Skill Formation." Anthropic. arXiv:2601.20245.
